01.寺社仏閣

嚴島神社は593年に佐伯鞍職（さえきくらもと）によって現在の場所に建てられ、当初は小さな神社だったと言われています。1168年に平清盛によって現在のような規模に造営されたとされ、平安時代の優れた建築様式が世界的にも高い評価を得ています。嚴島神社の祭神は市杵島姫命（いちきしまひめのみこと）で、海の神様であり、芸能の神様としても信仰（しんこう）されています。敷地内には本社を中心に大小の各神社・舞台（ぶたい）・楽房（がくぼう）などが設置され、建物や中庭などをぐるりと取り囲むように造られた長くのびた廊下（ろうか）＝廻廊（かいろう）は延長約200メートルにおよび、独創的な配置構成を見せています。東廻廊の入口両側には「御島廻（おしままわり）」と刻字した石灯篭（いしどうろう）が立っており、その上部には青銅製の烏(からす)が付けられています。嚴島の神が2羽の神烏（やたがらす）に導かれて、現在の場所に鎮座（ちんざ：神々が一定の場所に定まって住みつく）されたという伝説から、宮島ではカラスが神の使いとされています。

海にそびえ立つ大鳥居は、波や風雨にさらされ傷みやすいため、定期的に建てかえられています。現在のものは平安時代から数えて9代目です。一番新しい建てかえ工事は、約150年前の1875年に再建されたときです。2022年には3年間におよぶ修復工事が終わり、あざやかできれいな姿になりました。

宮島に現存する最古の仏像「薬師如来座像（やくしにょらいぞう）」（重要文化財）が置かれている「大願寺（だいがんじ）」は、嚴島神社の西廻廊を出ると右手にあり、明治の神仏分離（しんぶつぶんり）まで嚴島神社の修理造営を担当していました。薬師如来は平安時代の僧：弘法大師（こうぼうたいし）の作といわれています。秘仏の「厳島弁財天」は日本三弁財天（現世利益の女神様）のひとつで、年に一度6月17日にのみ御開帳（ごかいちょう）され、そのお姿を拝むことができます。

緑深い弥山（みせん）のふもとにある「大聖院（だいしょういん）」は、明治の神仏分離まで嚴島神社の別当職として神社の祭を担当していました。本尊の波切不動明王（なみきりふどうみょうおう）は、豊臣秀吉（とよとみひでよし）が朝鮮（ちょうせん）との戦いの折、戦勝と海上安全を願って軍船宝丸に安置した守護仏です。弥山の山頂付近には、弘法大師が宮島で護摩（ごま：仏教の儀式の一つで火をたき炎の中で供物を燃やすこと）をたいて以来、現在まで燃え続ける霊火をまつる大聖院の不消霊火堂（きえずのれいかどう）があります。「消えずの霊火堂」として有名で、1200年以上も燃え続けていると伝えられています。

嚴島神社（いつくしまじんじゃ）を正面から見たところ　（提供）宮島観光協会公式サイト